りんご好きのつぶやき

りんごがそこそこ好きな奴が、気が向いた時になんか書きます

羅生門の続編?

どうも、

小説を読むと続編が絶対に気になる、という自らのつくった固定観念に支配されている男、

アプレです。

今回は、先日読んだ羅生門の続編を、

勝手に書いてみました。

では早速、本編スタート!

羅生門 二の巻

下人は雨を冒して、京都の町へ、

強盗を働きに急ぎつつあった。

彼は左手で老婆の着物を抱え、

右手で頰のにきびを掻いていた。

門の下でこの男にはなかった勇気が、

今の彼を走らせていることは明白である。

下人はにきびを気にしながら、

ずっと反芻していた。

「では、俺が引剝ぎをしようと恨むまいな。俺もそうしなければ、飢え死にする体なのだ。」

それは、老婆に放った言葉だった。

下人は走るうちに、

夜でもまだ人通りのある町についた。

しかし、ここで彼は我に返った。

俺は何をしているのだ、と思っていた。

下人の心には、楼上では消えていた、

理性が戻っていた。

雨の中、下人の頰はもうずぶ濡れになり、

持っていた老婆の着物も重くなっていた。

下人は、激しい後悔を感じていた。

「随分濡れておるのぉ。」

どすの利いた声が、下人を呼んだ。

振り返ると、検非違使らしき男がいた。

「傘が無いのでな。」

下人は無愛想に言った。

「見回りをしている者でな、少しいいか?

   あの廃れた平安京は知っておるだろうが、

   羅生門の辺りに怪しい男がいたと聞いてな。

   お主は知らないか?」

自分のことだと、下人は悟った。

下人は、ここで自白をしようかとも思った。

左手に持った着物が、

下人の怪しさを引き立てていた。

「その着物はなんだ?」

検非違使が続ける。

ここで、下人は老婆の言葉を思い出した。

それは、生きるために止むを得ず行った悪は、

仕方のないものだ、という論理だった。

「娘に着せてやるものだ。」

下人は、嘘をついた。

「娘を持つにしては随分若く見えるぞ。」

検非違使はこの下人を怪しんでいた。

雨と暗さで目立ちはしなかったが、

下人からは滝のごとき汗が出ていた。

下人は思った。

もうこれまでだ、と。

「いたぞー!

   この男だー!」

検非違使が叫んだ。

下人が急に走り出したからだ。

近くで見回りをしていた忠明という同じく検非違使も、叫びを聞いて下人を追い始めた。

下人には逃げる術などなかった。

下人は、呆気なく捕らわれてしまった。

下人の行方は誰も知らないと言ったが、

それは、この男が下人であると認識する者がいなかったからである。

この男には、下人のときの心構えなど、

毛頭なかった。

下人は、姿を消したのだ・・・

終わり

という感じです。

楽しんでくれたなら嬉しいです。

ここまで読んでくれたあなた、

ありがとうございました😊

どうも、アプレでした。